【岩首の棚田】絶景とじぃの言葉にズキューンッと心打たれる


全国に棚田は数あれど、心がゆるりとほどける景色と人情味あふれる「じぃ」に出会える場所はここしかないのではないでしょうか。

今回は佐渡の北部に位置するそんな「岩首昇竜棚田」についてお伝えします。

「岩首昇竜棚田」とは?

「岩首昇竜棚田」のある岩首地区は佐渡の北側にあり、海沿いの集落から標高350mを越える山間に棚田が悠々と広がっています。

江戸時代頃に政府が田んぼを開き、段々の形を残しながら460枚もの田んぼが現在に受け継がれています。

山へと続く坂道を登っていくと、大小さまざまな棚田が空へと続いていて、その様子が空に昇る竜に見えることから「岩首昇竜棚田」という名前が付いたのだとか。

山の奥まで田んぼが続いていますが、上の方は人間が住んでおらず、生活排水やため池などがない為、自然のキレイな水を田んぼに摂り入れることができるそう。

清水や湧き水に恵まれている、ただそれだけでも十分豊かですよね。

田んぼの形がユニークで機械を入れての作業が難しいので、急な斜面の草刈りを何度も行いながら丁寧に丁寧に育てているのです。

海から登る朝日の光と、柔らかな海風を受けながら丁寧に育てられたお米は格別で、清らかな水で育った安全で美味しいお米を求める方におすすめです。

「岩首昇竜棚田」に行ってみた

両津港から県道の佐渡一周線で赤泊港、小木港方面に向かって進むと、右手に「岩首昇竜棚田」の看板が出ています。

看板の手前を右手に入り、登っていくと岩首公民館があります。ここには地域おこしの方がいらっしゃることもあるので、パンフレットを欲しい方は声をかけてみて下さい。

ここは旧岩首小学校だった場所で、建物の中には体育館なども残っています。

2階に上がると岩首の生活の風景や昔の写真、岩首に縁のある方のアート作品などが飾られているので、足を止めて見てみるのも良いかもしれません。

棚田にはいくつかの眺望スポットがあるので、初めてや場所が良く分らない、この地域に関するストーリーなどを聞きながら進みたい人は棚田ガイドを申し込むと良いでしょう。

>>棚田里山散策ガイドの詳細はこちら

山に向かってくねくねと登っていくと岩首で一番小さな棚田も見えてきて、わたしたちの目で見ると結構な広さなんですが、ここからたったのご飯茶碗2杯分のお米しかとれないのだとか!

ここに稲を植え、何か月も手をかけて育て、1つ1つ手で稲を刈って、たったのお茶わん2杯!!

美味しくて安全なお米を口にできるのも、こういったお米を大切に育ててくれる農家のみなさんのお陰なんですね。感謝!

そして頂上まで行くと棚田と周りの集落、その向こうに広がる海が一望できます。

ここには「空のまめらか家」という名が付けられていますが、「まめらか」とは岩首の方言で「お元気」を意味します。

なんともほのぼのとした名前で、ここに座って新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込み、前の前に広がる雄大な景色を眺めているだけで幸せな気分になります。

一生に一度は訪れたい場所にしてくれた「じぃ」との出会い

岩首に味のあるおじいさんがいる

前々からそんな話を聞いてはいたのですが、なかなかお会いする機会がなく。。でも、今回そのお方に初めてお会いすることができました。

自分のことを「じじぃ」と呼んで、岩首の地域の事、棚田のストーリー、農業のこと、自然のこと、ご自身の思いなど、沢山のことを分かりやすく語ってくれるのは、地元で棚田を守る大石さん。

心と目と耳をしっかり開き、感じたことをストレートに使えてくれるので、どの世代の心にも刺さる刺さる!

大石さん曰はく、かつて都内から大学生がやって来た時のこと、上から目線で農業を見る学生がいたので、「そんな上から目線で見るなら、来んでいいわ(来なくていいわ)!帰れ、帰れ!」と言ったそう。

すると、その学生は時間をかけてその土地の事や農業の事を理解しようと努めるようになったらしく、結果、1年に何度もこの地を訪れ、3年連続でここに通ったそうな。

その他にもいくつもエピソードをお伺いしましたが、話を聞いているとズバズバ物を言ってくれ、自分の中に気づきを与えてくれるマツコさんの様な存在だなと(笑)

人生で迷っている人や何だかボーッと毎日を生きてる気がして喝が欲しいという人はここに来ると良いかもしれません。

また、こんな事もおっしゃられていました。

外国に行くと、自分のお国(出身地)自慢で喧嘩になることがあるけど、日本人は自分の故郷に誇りを持っている人が少ないんじゃないかな。

確かに!

実は、ここを訪れる2週間前に浅草で4か国の外国人と夕飯を食べていたのですが、この4人が最終的に盛り上がったのがお国自慢でした。

『こんな所』とブツブツ言いながら故郷に居る人もいるけど、どうせ同じ時間を過ごすなら楽しんだ方がいいよな、何でもね。

大石さんの口からこぼれる言葉がどんどん心に響きます。

帰ってからメッセンジャーでお礼を伝えたら、こんなお言葉が返ってきました。

遠路岩首までお出で下さり感謝です!佐渡の宝、自然環境の一つ「棚田環境」の維持保存にご協力下さい!よろしくお願いします。楽しい島にしましょう!人はそれぞれ、多様性豊かで人に暖かい島に!人の事は批判しない!批判よりは提案・・・(笑)

ズキューン!!いやぁ~響きますね!

岩首は棚田が素晴らしいのはもちろんなのですが、こういった人の魅力にも惹きつけられる場所なのだなと強く感じました。

また、必ず大石さんに会いに行きたいと思います。

インスタにおすすめのフォトタイミング

岩首集落でインスタなどの写真を撮りたい人におすすめなのが「田植えの時期」。

水を張って鏡の様になった田んぼに朝日が差し込む瞬間は神々しく息をのむほど美しい。

晴れの日には海の向こうに弥彦山なども見ることができますよ。

不妊に嬉しい!子宝に恵まれるという伝説のある滝

岩首昇竜棚田の頂上に登る途中に高さ29mの「養老の滝」があります。

ここは、修行の場所であり、また子宝に恵まれるという伝説があるので赤ちゃんを授かりたいと願っている方にもおすすめです。

日本で初めて世界農業遺産(GIAHS)に登録

世界農業遺産(GIAHS ジアス)は社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承されてきた独自性のある伝統的な農林水産業と、それに密接に関わって育まれた文化、ランドスケープ(※1)及びシースケープ(※2)、農業生物多様性(※3)などが相互に関連して一体となった、将来に受け継がれるべき重要な農林水産業システムを認定する制度のこと。

佐渡はその農法や景観、生物多様性などが認められて2011年石川県能登地域と共に日本で初めて世界農業遺産に登録されたスゴイところなんです!

これは一見の価値がありますね!

※1 ランドスケープ:土地の上に農林水産業の営みを展開し、それが呈する一つの地域的まとまり
※2 シースケープ:里海であり、沿岸海域で行われる漁業や養殖業等によって形成されるもの
※3 農業生物多様性:食料及び農業と関わりのある生物多様性及び遺伝資源が豊富であること

参照:農林水産省

住所:新潟県佐渡市岩首
駐車場:有

<岩首集落からのお願い>

・棚田散策道路は、基本的に農用車優先道路です
・散策は、地元ガイドをご利用か徒歩でお願いします
・原則として「マイカーでの散策」、「散策コース以外への立入」はご遠慮下さい
・マイカー使用時は、道路が狭いので充分ご注意ください
・ゴミは必ずお持ち帰りください