
佐渡の南側にあり、島の中でも暖かくゆったりと時間が流れている赤泊地区。
11月半ばに地元のガイドさんと街歩きをしましたが、通りに並んでいる家々の作りが独特でレトロでとにかく素敵☆
高台から見る海や山の眺めも壮大で美しく、見ているだけで幸せな気分になります。
今回はそんな赤泊の街歩きコースと見どころについてお伝えします(^^)
Contents
赤泊ってどんなところ?名前の由来は岩にあった!?
赤泊は佐渡の南側にあり、17世紀に佐渡金山で佐渡が栄えた時に江戸の幕府直轄領として佐渡奉行が出入りした港。

北前船などが寄港していたこともあり、人やモノの交流が盛んで、平成17年から高速船あいびすが赤泊(佐渡)と寺泊(新潟)を行き来しています。

港の周りには「タコ公園」も!
越前ガニ(えちぜんがに)や南蛮エビ(甘エビ)などの海産物が豊富で、毎年、夏には赤泊港祭りが開催され、日本海で海上相撲が行われることでも知られています。
海上相撲については、昔むかし、竹伐り職人で力持ちの八専三郎と越後一の力士で赤泊の井戸掘り職人の土用五郎が春には寺泊で、夏には赤泊で相撲を取っていたことに由来するそう。

ちなみに、竹伐り職人三郎の留守中に伐った竹は虫がついて使い物にならず、五郎の留守中に土方仕事をすると怪我人が出たことから、「春の八専竹伐るな。虫がつく」「土用の五日は井戸掘るな。怪我をする」と言われるようになったのだとか。
また、甘くてジューシーな柿や繊細な竹細工も有名です。
ちなみに、赤泊港の近くにこんな岩があるのですが、この岩にある白く丸いプツプツは海底に生息するウミユリの根っこの化石なのだとか。
佐渡は約4億年~2億年前まで海の中にあり、約250年万年前に隆起したといわれています。

赤泊という名の由来も興味深く、昔、佐渡に来る船がこちらの赤石を目指して佐渡に渡来したことから「赤石に泊まる場所」として「赤泊」と言われるようになったと言われています。

今はこの様に鳥居が立てられて祭られています。
タイムスリップした気分になる街

赤泊の名前の由来となった岩の目の前にある道路を渡り、通りに入ると目の前にこんな素敵なお家が現れます。
入り口の屋根が五角形の様で珍しく、入り口の前には木のベンチがあります。

古いのですがキレイな状態で残っていて、どこかベトナムや台湾などの古民家カフェを彷彿させますよね。
こちらは昔、お医者さんが住んでいた場所の様で、今は空き家になっているとのこと。
更に左横には「淡路家」と書かれたお家が。ここは、赤泊の伝統的な家の作りをキレイに残した公開民家。

今も人が住んでいるので写真撮影は遠慮させて頂いたのですが、玄関の天井が吹き抜けになっていて広く、家の中の天窓が外の光を取り込んでいて電気がなくても家の中がとても明るかったです。
外から天窓を通して入ってくる日が玄関の石に反射し、ほんわりと輝いていてしていて、まるで印象派の絵を見ているような気分になります。
さらに淡路家と逆方向に進んで海側をみると、こんな通りがありました。

よーくみると道に線路の様な跡がありますよね?
ここは、昔、佐渡の金を赤泊港まで運ぶトロッコ道の様なものとして使われていたといいます。奥には先ほどの鳥居が見えますね(^^)

進み続けると通りに面した格子が扇型の粋なお家や蔵の扉がドンと張り出したお家、西洋レトロを感じさせるお家、家の上に六角形の素敵な建物が付いた家などがズラリ!

「へぇ~、何ここ~♪」と街歩きしながら眺めているだけで楽しい。
タイムスリップしたような、異国の地に来たような不思議な気分になり、特に女性にはキュンキュン度が上がるのでおすすめです。

こちらの家はニシン漁への投資で巨額の富を築いた田辺家で、この家に生まれた九郎平は故郷である赤泊の発展の為と資材を投じて赤泊港の改築を行いました。
街中のマンホールにはこちらの家と赤泊港に来る船がしっかりと描かれています。こちらは地元の高校生がデザインしたもの。

また、道を一歩入ると、こんな立派な蔵がしっかりした状態で残っていたり、

イチョウと白い鳥居のコントラストが美しい八幡若宮神社があったりして歴史を感じます。古いものお宝探しをしている気分になり楽しい♪

海と山を一気に楽しむことができる「城の山公園展望台」

通りをさらに進むと左手に「城の山公園展望台」と書かれた看板が見え、矢印に従って進んでいきます。
道は山の方に続いていて、森林浴をしながら上へ上へと向かっていきます。

歩くこと7分。ようやく頂上に着きました。目の前には展望台の建物が現れます。

中に入ると曙力士の肖像画や木彫りの銅像などが展示されています。曙力士の絵は海上相撲の関係で頂いたそうです。

スリッパに履き替え、展望台の上に続く階段を登っていくと踊り廊下に赤泊にまつわる民話の銅像が飾られています。

展望台の上まで登ると、目の前にエメラルドグリーンの海が広がります。
穏やかで温かく、日本海側の海であることを忘れてしまうくらい。海もキレイでビーチリゾートホテルから海を眺めてる気分に。

反対側を見ると自然豊かな山々があり、心まで豊かになるような気持ちに☆

展望台から少し奥に進むと榧(かや)の木があります。

この榧の実は食べることができる状態にするまで手間がかかるのですが、この榧の実を残していきたいという方が時間を手間をかけてこういった「かきもち」と呼ばれる地元で古くから食べられているお菓子にしてくれています。

榧の実のお菓子は香ばしく、独特の甘さを含むお菓子は後味まで美味しくクセになります。ポリポリと食べていたらあっという間に一袋がなくなってしまいました。
また少し離れたところに金毘羅宮があったり、周辺を歩いていると佐渡・南部で有名な柿なども見られます。
迫力満点の鬼瓦が迎えてくれる「禅長寺」

城の山公園展望台からさらに歩くと、827年頃に建てられたと言われている禅長寺にたどり着きます。
入口には大きな鬼瓦が飾られています。

こちらは「佐渡七福神巡礼コース」の1つで、知恵と武勇を備えた神や財宝・福徳を司る神「京極毘沙門天」があります。
境内にある鐘からも歴史を感じますし、色々な種類の桜の木もあり春に訪れても素敵♪
赤泊の街を一望できる美しき「延命院」

禅長寺の前の道を渡ると、街に降りる階段があるのですが、こちらを下ると真言宗智山派の寺院である「延命院」に行くことができます。

壮大な屋根や木彫りの鳳凰、伝統的な翠や群青色を用いた五色幕(ごしきまく)が織り成すコントラストがなんとも美しい。

高台なので赤泊の街も一望することができますし、何百年もの間、このお寺が赤泊の街を見守ってくれていたと思うと感慨深い。
ムジナの横綱を祀っている「東光寺」

「ムジナ」とは、佐渡では昔から知られている狸の様な生き物のこと。佐渡では「とんちぼ」とも呼ばれています。
ジブリアニメ映画の『平成狸合戦ぽんぽこ』の団三郎のモデルとなった狸もこのムジナです。
団三郎は北部の相川という場所に住んでいて、江戸時代に信仰を集めたムジナですが、この団三郎より前に信仰を集めていたのが「禅達」というムジナ。
力が強く、佐渡のムジナ番付で東の横綱と呼ばれていたとか。
しかも、このムジナ、人間の僧に化けて修行を積み、和尚さんから一休さんや宮本武蔵の沢庵和尚で有名な「禅宗」の「禅」から名前をとり「禅達」という名前をつけてもらい、禅問答に励んだそうです。

広い境内には三ツヶ山公園があり、山と称される大きな岩々に鳥居があります。
京都の人気観光スポットで伏見稲荷大社にある「千本鳥居」を髣髴させます。
観光客がいっぱい過ぎて。。ということもないのでインスタグラムなどの写真もしっかり撮っていけますね(^^)

お寺も大きく、中には木魚の原型と言われる木彫りの魚が飾られていたり、人を乗せて人力で運んでいた駕籠(かご)なども天井に吊るされています。なんだか歴史を感じますね。

境内には池や木のベンチがあり、わたしたちは紅葉が終わりを迎えた季節の夕方に行ったのですが、それでもこんなに美しい。今度は昼間にゆっくり来たいなと思いました。

まとめ
赤泊を知っている観光客はまだまだ少ないので、ある意味、シークレットスポットでもあります。
佐渡であまり人の行かない場所を探している方や寺巡り、街巡りが好きな方はぜひ訪れてみて下さい。
夏には1か月限定のかき氷屋さんも出るようですよ!