
能といえば歴史の教科書にも出てくる観阿弥(かんあみ)・世阿弥(ぜあみ)親子が有名ですよね。
特に世阿弥は能楽の大成者として知られています。
彼らは15世紀初めまで足利三代将軍である足利義満(あしかが よしみつ)により能を大切にされてきて、ここが日本の伝統芸能の能の出発点だと言われています。
ただ、義満が亡くなるとその後に世を治めることになる義持(よしもち)が以前の政策を片っ端から変えていき。。
その変革は芸能にまで及んで、義持は伝統的な芸能である田楽(でんがく)を重視した増阿弥(ぞうあみ)を保護することになります。
その結果、世阿弥は冷遇され、1434年に流刑として佐渡(当時の佐渡国)に流されました。
この時代、佐渡は佐渡金山として栄えて、江戸時代における江戸幕府の直轄地である天領地として重要な場所とみなされていました。
そこに世阿弥と共に能の文化が入って来ることに。
佐渡の能は神社に奉納する「神事能」として独自の進化を遂げ、江戸時代からは大衆の娯楽として浸透しました。
一番多い時は200もの能舞台があったといわれていますが、現在は30以上の能舞台が残っていて、日本国内の3分の1の能舞台が佐渡にあるといわれています。
能舞台の客席の多くは野外にあり、能舞台の脇には松明が灯される中、能鑑賞ができる薪能を行うところも少なくありません。
静寂な夜の暗闇の中で松明の灯りがゆらゆらと舞い、火の粉が弾ける音や虫の音が静けさの中に優しく響きます。
時折見える月や頬を撫でる風を感じながら鑑賞する能はとても幻想的で美しく、どんどん能の世界に惹き込まれていきます。
そんな能舞台の中でもひと際美しさが際立っているのが「大膳神社能舞台(だいぜんじんじゃのうぶたい)」。

大膳神社の能は佐渡島で最も古い能舞台だといわれていて、1846年に再建された茅葺き寄棟造りの能舞台は風格があり神々しく素晴らしい。

茅葺の能舞台の左前には大きな拝殿があります。

その間を進むと、左手に境内社・稲荷神社があり、奥には朱の鳥居があります。



杉や松など自然豊かな中にあり、とても落ち着いた雰囲気。そこにいるだけで心が和みます。
・電話番号:0259-55-2953
・駐車場:有り、40台
・最寄りのバス停:南線「竹田橋」より徒歩3分